角砂糖と粉砂糖
セミナーの時に必ずするこの話「角砂糖と粉砂糖のどちらが早く水に溶けるでしょうか?」
「粉砂糖の方が早く溶けるよ!」と回答頂きます。
しかしなぜ粉砂糖の方が早く溶けるんですか?と質問すると、????
なかなかその理由を考える方はいらっしゃらないようです。
なぜ粉砂糖の方が早く溶けるかというと
「表面積が広いから」
つまり水に対する接触面積が広いからなんですね。
汚れもワックスも大きな角砂糖なのです。
洗浄液に対して溶けにくいので、粉砂糖に変えてやらねればなりません。
いわゆるそれが洗浄の方程式で言うところのアジテーションなんですね。
それがワックスの床であればUS SPPパッドは絶妙に細かく破砕してくれます。
ワックスも大きな角砂糖と一緒で、特に平滑になったワックス被膜は、洗浄液との接触面積は小さいのです。
だからワックスを剥がそうと思っても効率よく剥がせないのです。
傷が入るとその部分だけ表面積が増えますので、洗浄液が増えてワックスがより多く減膜します。
歩行による傷でワックスがなくなるのではなく、洗うことによってワックスがなくなっているのですね。
(正しく密着していない状況では歩行でなくなっていることもあります。)
減膜量を増やしたい場合や、均等に減膜させたい場合は、US SPPパッドを洗浄機に取り付け、1パス洗浄機を押して予備洗浄ワックス表面の傷を整えてやることで減膜量を均一に近い状態に持っていけます。
逆に隅などの人が歩かないところは減膜されにくく、スプラッシュホルダーで頑張って擦っても1㎡あたりの擦っている回数と単位荷重が足りないので効果的な減膜は見込めません。
なので、ポリッシャーの当たらないところはワックスを塗らないのが一番です。
塗る場合は薄めに塗りましょう。
うちの現場ではスーパーでも什器から10cmは開けて塗っています。
溶け込むスピード
人間がご飯を食べる時に食べ始めはどんどん食べれますけど、お腹が満たされてくると食べるスピードが落ちますね。洗浄液や空気も一緒です。
洗浄液も汚れやワックスが溶け込んでいき、それが進むにつれて溶け込むスピードは落ちていきます。
ダスターをかけていない場合は論外で、土砂や埃が先に溶け込むので汚れもワックスもなかなか溶け込んでいってくれないのです。つまり汚れもワックスも取れる状態になっていながら除去できないのです。
洗浄液は水と洗剤で構成されているので、洗剤が濃いと、人間でいえば牛丼の並盛りを一杯食べてから寿司屋へ行く(私がよく食べるのでうちの実家ではそんな感じでした)ようなもので、そもそも汚れもワックスも溶け込みにくく、溶け込むスピードも遅いのです。
なので反応しても除去しきれなかったり、パッドが詰まったり。
nano+の洗浄液は希釈液が薄いので簡単に早く汚れやワックスが溶け込んでいき、容量にも余力があるので洗浄液がドロドロにならないのです。
空気も一緒です。
1㎥(1m×1m×1m)に含むことのできる水分量は気温によって決まっています。小学生の理科の時間にやった「飽和水蒸気量」というやつですね。
そして吸い込む余力がなくなっていくに従って吸い込むスピードが落ちていく
→つまりワックスが乾燥しにくくなるんですね。
洗浄作業中に湿度はどんどん上がります。
その上った湿度を落としてからワックスを塗らないと、ワックスはなかなか乾きません。
そしてなかなか乾かないからと送風機をガンガン当ててしまい、正しい被膜ができず維持できないと言うのはよくある話。
1時間程度乾燥しないコーティングならまだしも、すぐに乾いてしまうワックスで送風機を使うことは特殊な状況を除いては不要なのです。
特にUAフィニッシュLは乾燥が早いので、乾燥しやすい現場ではレベリング前に乾かないよう、逆に注意することが必要です。
エアコンの風が直接当たると乾燥が早いので、風を上向きにしておいた方がいいですね。
ワックスを剥離する場合
洗浄機にハイプロパッドをつけて1パス洗浄してから剥離剤をまいてくださいと先日コラムにも記載しましたが、ワックスの表面積を増やすという作業をしてから剥離剤をまくことで、角砂糖状態のワックスを粉砂糖にしてより短時間で反応して溶け込ませ剥離ができます。剥離剤の使用量も少なくできますから、ゆ〜っくり洗浄機を押して物理的にワックスを破砕して容積を減らし、表面積をしっかり増やしてから作業しましょう。
剥離剤を2回まいて作業するのと、洗浄機1パスで削り倒してから1回の剥離作業とどちらが楽かは考えるまでもありません。
カーペットだと
アップライトをかけずにポッド型の掃除機をかけてから洗う人もいますが、土砂埃が除去しきれず間違いなく汚れは取りきれません。アップライトを丁寧にかけて土砂埃を取りきることがカーペット洗浄成功の秘訣です。
ドライの汚れはアップライトで!という基本は誰もが知っていても、実際に現場ではそういう扱いをされていないのはあるあるですね。
そして蓄積した汚れも角砂糖のままでは溶けにくいので落としきれない。
なのでアジテーションして粉砂糖にして水に溶かし回収する必要があるのです。
先般アップした墨汁のようなカーペットの黒い洗浄汚水もしっかりとそういう作業ができているからあそこまで汚れが溶け込んでいるのですね。
2019年08月06日 13:36