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フロアコーティングの話

先日日本トップレベル(というか実際にNo.1の技術と管理能力を持つ人)と話をしていた内容.

この約20年くらい,床用ワックスではなく,フロアコーティングとして剥離できないコーティングが広まりました.
剥離できないので,黒ずみや割れなど,様々な問題が起こり,訴訟まで起こることもありました.
特にいわゆるガラスコーティング(シリカですが,ここでは皆さんの認識に合わせてガラスコーティングとします)の剥離は困難であり,物理的に削るという手段しかなく,コーティングメーカーや多くの人が,トライしたり,色んなブラシを作ったりという歴史がありました.



コーティングの経験
コーティングの類は一通り自分自身でも使って管理したことがありますし,剥離にもトライしたこともあります.
UV照射のコーティングに至っては,現在も過去塗った現場を,10年くらい多機能還元水を使った光沢復元洗浄で管理しています.(コーティングを塗り直したことは一度もないですが光沢復元洗浄だけで十分綺麗なままです)
硬化剤を使用する二液性のウレタンなんかもやりましたね.
いずれも剥離剤などで剥離することができない為,剥離は不可能です.
剥離できるという人もいますが,床の凹凸があるのと,剥離をしないといけない状況は,年数も5年以上であり,膜厚も厚いので,コーティングでなくてワックスであってもすんなりとはいかないレベルのものを剥離しにくいコーティングを剥離するわけですから難しいのです.



コーティングを使う場所
使わなくていい場所は使う必要がないのです.
昔,とある有名なメーカーさんに頼まれて,新しいコーティングを開発したので見て意見が欲しいとの依頼がありました.
有名なワックスメーカーさんで,私の立場を分かっていて,私が顧問をしていた管理会社さんに依頼をして,その会社から依頼という回りくどいものでした.
ダメなのは分かっていても,興味本位で見に行って,実際に研究所での施工と,それが管理している現場を見に行きました.
都内のGMS(総合スーパー)で,1階にはコーティング,2階はワックスでドライメンテナンスとのことでした.
誰がどこから見ても,2階の方が綺麗.1階はもののひこずり傷でズタズタでした.
明らかに使う場所を間違えていて,これは逆なんですね.



施工時の問題
スーパーだと食品売り場がメインなので,お客さんはそこに施工したがるのです.
しかし物のひこずりだけでなく,コーティングを施工する際の作業時間が短い(23時閉店で早いところは3時過ぎに納品)のです.
また冷ケースによりただでさえ冬は床温が低く環境が悪いのにさらに冷やされコーティングが乾かないという問題もあります.
そんな環境では,コーティングを塗る前の剥離作業も効率が悪くなります.
コーティングをベース1層+トップ1層塗布して,翌日ダスターと洗浄機をもう2層くらいが一般的でしょうか.
1層あたり乾燥時間と上に塗れるようになるのは環境に左右されますが,1時間くらい.
塗る時間も必要になりますし,塗る前の床材の乾燥時間もありますから,きっちりとコーティング被膜を作ろうと思うと,23時作業スタートで24時までに剥離とリンスを完了しなければいけません.
そんなことはいわゆる無理ゲーというやつなんですが,トップクラスはそれでも普通の会社の比ではない面積を作業されています.



本来は
GMSなどの2階以上のあまり痛まないフロアに使うべきなのです.
家電量販店やあとワックスが苦手な水が多く入るプールや銭湯の脱衣場など,場所が限られます.
剥離できなくても,傷が入らなければ傷の補修も必要ないので,日常の洗浄機だけで永久に剥離なしです.



対策は
コーティングを石材だと思って,石材用のもので研磨して減膜していきましょう.
下手にケミカルを使う必要はありません.
ある程度のところまでコーティングを減らして平滑にしたら,UAコーティングを2層程度塗布します.
UAコーティングはその手のコーティングにもある程度密着します.
あとは定期を年1,2回で日常の洗浄機だけでも十分です.
もし痛みがひどくなる場所があるようなら,UAコーティングの上にUAフィニッシュLを塗ってワックス管理にしましょう.



ゾーニング(エリア分け)の考え方
多くの方が勘違いされています.
痛みが激しい場所:耐久性が高い被膜
痛みが少ない場所:耐久性が高くない被膜
とこのように使い分けをされます.
これはメンテナンスをやる時点でしか見れていない人の思考パターンです.



正解は
痛みが激しい場所:耐久性が高くない被膜→UAフィニッシュL
痛みが少ない場所:耐久性が高い被膜→UAコーティング
になります.
耐久性が低い被膜は剥離性がいいので,傷んでも剥がしやすく傷の補修がしやすいのです.
塗って傷の補修ができるとまだ思っている方は,トップページの光沢復元洗浄の理論を見てください.
塗るより平滑に洗う方が傷が消し込めます.
傷が入らない場所は,作業をダスターだけや,洗浄機だけ,光沢復元洗浄で塗らないなど,間引けますので,その浮いたコストを痛む部分に集中できますね.
そのゾーニングが収益性アップになる,いわゆる管理技術なのです.



コーティング問題
おそらく現時点で有効な解決方法はありません.
削ることができるなんていう人もいますが,時間や労力をコストに換算すると現実的ではありません.
石材用のものとプロパントラッカーを使った方が圧倒的にコストに優れます.
そしてそういったものが使えないような現場では,タイルの追い貼り(既存タイルの上に重ねて貼る)や貼り替えの方が現実的です.
下手にコーティングの契約をしている現場は,単価だけは無駄に高いですので,貼り替えてナノプラスで管理した方が,5年や10年単位で見ると安上がりなこともあります.
美観的にも優れ,継続性もありますし.



上記にもあるように
コーティングの剥離という話が出た時点で,ワックスと違って既に手遅れなのです.
難易度が高いので,下手に手を出さない方がいい,特殊作業です.
なので,コーティングの現場でも,綺麗なうちにUAコーティングを上に塗っておくというのが最大の対策です.
会社が大きくなればなるほど,誰でもできるというのは重要なんです.
ワックスなら最悪失敗しても剥離が誰でもできるけど,コーティング管理というのは誰でもできないのです.
特に食品スーパーやコンビニなどの店舗では不可能です.
私も依頼されたことがありますが,責任が取れないので断りました.
以前某コーティングメーカーさんの施工をされている会社の方が,初期施工の段階からガラスコーティングの上にUAコーティングを塗って管理されていましたね.

ひどいことになる前に先手を打っておいた方がいいという話でした.
2021年04月05日 10:00