アーカイブ 過剰品質と過剰コスト
この頃からうちの現場でも過剰コストをかなり減らしました。
そりゃ洗って塗れば洗って終わりよりは綺麗なのですが、では1ヶ月の平均は?ということを考えると洗って終わりの方が平均が高くなってきた→耐久性を上げることができてきたこともあります。
1度だけその時に現場を見てもおそらくこのやっている意味は見えてこないでしょう。
しかし毎週定点観測しているとそれが意味することはよく分かります。
これは過剰コストを見直すことで新たな視点ができたということですね。
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清掃業界の仕事って、不思議と品質と価格の松竹梅がない業界です。
本来は単価によって品質も変わって然るべし。
例えば単価が梅なのにお客様に喜んで頂こうと松の仕事をやってしまう人、単価は松なのに梅の仕事をやってしまう人、このいずれかがあるあるですね。
後者は論外として、前者の方ですが、松の品質を出すために人件費も含め過剰なコストがかかっているのですね。
まぁ、何をもって松竹梅とするかも難しいところではありますが、私は以前メンテナンスに入っていた業者さんや他の清掃会社さんの施工後のレベルとしています。
顧客満足の為に色々とされるのですが、本当にそれが顧客満足になっているでしょうか?
綺麗なって良かった、ありがとうが本当に顧客満足でしょうか?
我々はプロですので、お客様に喜んで頂くことも大切ですが、プロとしての評価はお客様に喜んで頂くことではなく、あくまで単価なんですね。プロ野球選手のようなアスリートと一緒で、いくら頑張っても年俸が上がらない選手は成績の割に評価されていないのと同じで、ではどうやって年俸を上げてもらうかというのが重要になってきます。
もちろん価格が決まっているのでなかなか上がることはありません。
しかし単価によってこれだけ変わりますよというのを現場で見せることは可能です。
例えばワックスを普段は1層なのに2層塗る部分を作ってお客様に説明して、こちらだと単価が上がりますが綺麗ですよと。
仕様が統一されている場合はなかなかそれはできませんが、その場合は逆に見た目の品質を維持したままどうやって作業時間を短縮するか。
過剰品質の例ですが、毎月1回洗浄してワックスを塗らなければいけない現場なんかで、1年近く持ってしまうような施工レベルをしても無駄なんですね。
そういった施工はもちろん作業時間が変わってきます。
うちの現場での例ですが、そういった現場をやる場合は、洗浄し汚水回収後に通常なら30分以上被膜や床材が含んだ水分をしっかり乾燥させてからワックスを塗布しますが、そんな高いレベルの品質は過剰品質となので、多少水が残っている部分があってもワックスを塗ってしまいます。
30日しか持たないのでいいのだから。
それだけで作業時間の短縮になり、過剰コストの削減ができるわけです。
どこをどうすれば維持できる期間が変わるかを把握できれば、それに合わせて作業を間引いてしまい時間を短縮することができるようになります。
もちろん一年以上持たせたい現場はしっかりとした作業を行います。
品質を上げるには細かい作業の積み重ねによる足し算ですが、過剰品質を抑える作業時間短縮は細かい作業の引き算になります。
いかに品質に問題のないレベルで引き算して着地点を合わせるか。
その問題のないレベルでというのは大切で、クレームを出しては元も子もありません。
施工のレベルが上がれば上がる程、良い状態を見せたまま引き算ができるようになります。
単価が決まっていることが多い以上、それは非常に重要です。
施工原価を下げることは競争力が上がることに繋がり、経営効率も上がります。
つまり作業の効率化は、経営の効率化なんですね。
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この記事で書いていることを大まかにまとめると、営業的にも現場的にも引き出しを増やそうという話なのです。
営業的には単価でいくら!
現場的には洗って塗ります!
だけのやりかたになっている会社は大きいのですが、だから他者との差別化もできませんし、競争力もなく、ただの終わりのない価格競争になっているのです。
過剰品質を意図的に抑えてコストを下げれば利益率は増えていきますから、そういったどこをマイナスするのかという引き出しというのも結構大切です。