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ワックス被膜の話④

前回からの引き続きです。


そもそもワックスの最大の強みは、剥離ができないコーティングの類と比べて圧倒的な剥離性の良さという話をしました。


特にUAフィニッシュLは汚れにくさとともに剥離性に重点を置いているので、ビルドアップさせてしまったかなと思ったら、洗浄液のphを少し上げるだけで大幅に減膜できるようにできています。
多機能還元水500倍にユシロ化学工業のハイブリッドクリーナーを100倍くらいで添加すればかなり変わります。(ただし回収後に水をまいてのリンス洗浄が必要になります)
ハイブリッドクリーナーのカタログの希釈の記載は、当時のニューベクトルをベースワックスとしてわたしが現場で数ヶ月洗って検証して書いたもので、開発段階で色々と意見をしていたものですからかなり思い入れのある洗剤です。
いまだに人気のある商品とのことで嬉しく思います。


ハイブリッドクリーナーは基礎ができていない人が使うと失敗しますから、正しい技術を身につけるのには良い洗剤です。
そこから比べるとナノプラスは誰でも簡単に使えて、ワックスの耐久性もはるかに高く出せるので世の中本当に便利になったものです。
↑に「ニューベクトルで」と記載していますが、これをUAフィニッシュLに置き換えると2倍以上減膜が可能になります。
耐薬品性が違うと減膜量が変わります。
減膜量が多いと剥離は必要なくなりますし、より深い傷を消し込めるようになりますから、光沢復元洗浄を行った際の光沢復元幅も大きくなります。


ワックスにはその設計によって、アルカリで落とせる被膜、溶剤で落とせる被膜、その両方が必要な被膜があります。
剥離剤に安いのと高いものでは、高いものの方が良い剥離剤なのだという意見もありますが、まったく間違っていて、割と値段が安い剥離剤はアルカリタイプ、値段の高いものは溶剤タイプです。
逆に使うと剥離できるものも剥離できないので、リンレイのテイクバックやコニシのハクリスタープロXは両方のバランスが良いタイプですね。
しかし両方取りしようとすると相性が良い剥離剤の方が簡単に剥離できてしまうということになりますから、必ず作業する前の現場調査で両方の剥離剤を比較して反応を見ることが必要です。
できる会社は必ずそれをやっています。
アルカリも溶剤も必要な場合は、ユシロ化学工業の製品であればチャージ100にハイブリッドクリーナーを添加しphを上げて使ったりしています。


他社が塗り込んで真っ黒にしたワックスが剥離が難しいのはそういった背景があるのです。
ナノプラスはそもそもアルカリとか溶剤とかに依存していないので関係のないことではあるのですが。


次回に続きます。
2023年06月19日 05:55