技術の前に安全性や法令を
前回多面的な洗浄液の安全性について書きました。先日ちょうど安全性の話をする機会がありましたので今回はその話題に触れていきます。
最近ではこの業界の流行のようなものでフランチャイズビジネスから協会ビジネスに主流が移ってきたように思えます。
基本的には加入金や入会費を取って技術を教える、場合によっては仕事を斡旋するというビジネスですね。
わたしもナノプラスでそれをやればいいのになんて話もいただきますが、技術や情報など最低限のことは無料にして業界全体がよくなれば良いと思っているのでそこではお金を取る必要はないと思っています。
今回はそれが良いかどうかはやっている内容なので個別にどうという話ではないのですが、人に物を教える以上は正しいものを教えることはもちろん最低限技術云々の前に教えるべきことは教えて欲しいと思っています。
技術だけ教えて関係する法令や安全に関すること、最低限のルールを教えないというのは、運転免許を取りにいく教習所で、運転技術でドリフトなどだけを教えて交通法規を教えていないというようなどこから聞いたことのあるような豆腐屋さんの漫画のようですね。
例えば脚立ですが、天板の上に立って作業するのはNGです。
調べれば出てきますが、結構細かいことがかかれていますね。
またなぜかヘルメットもつける人がいないのがこの業界の特徴です。
これはゼネコンの建築の現場で仕事をされたことのある方はご存知なことでしょうが、こんなことも守れていないと現場から叩き出されます。
次に先般からよく話に出る洗浄液の扱いについてですが、上向きで使う場合はゴーグルやマスク、長袖、手袋など対策をされていますでしょうか?
一般的な洗剤論外として多機能還元水であっても濃い希釈のものが目に入れば結構痛いのです。
上向きでなくても洗剤塗布機に希釈する時にうっかりメガネを外していてはねた洗浄液が目に入って痛い思いをしたことがありました。
排水についてもそうですが、下水道への排水ができているのか確認する必要があります。
わからない場合はトイレに排水すれば間違いありません。
洗浄液がどれだけ安全であっても流して良い汚れかどうかという問題もあります。
家庭用の洗剤もそうですが、我々が扱っている業務用の洗剤というのは、作る側から言わせればちゃんとゴム手袋をして扱うべきものなのですよ。
多機能還元水のように逆に手が綺麗になったり、流した先が綺麗になるなんてものはほとんどないのです。
「安全!」「環境にやさしい!」「生分解性が高い!」などど謳ってあっても、そもそもの基準が違ってそれを人が飲んで良い物でなければ水性生物や自然環境に取って良い物ではないのですから、「仕方がない」などという言い訳は通用せず、流して良い状態で放流するために下水道への排水を行うのがプロとしての責任です。
余談ですが、わたしは多機能還元水をずっと希釈して飲んでいます。(飲むために作ったものではありませんからメーカーの立場として飲用可能とは言いません)
近年ではデトックスで重曹クエン酸水なども流行っていますが、その効果がわかっているからこと自己責任でそうしていますし、身をもって安全性をアピールしているとも言えます。
多機能還元水は池の浄化などにも使えるくらいですから。
話は逸れましたが、プロなら最低限仕事に関わる法令は勉強するべきです。
サブスクがブームになったからそういった会費が発生するビジネスがどんどんできていくのですけど、人に教えるフランチャイズや協会、コンサルタントであればビジネスとして儲かる儲からないというお金の算段をする前に教えるべきことは責任をもって教えてもらいたいものです。
管理会社さんではこのあたりはちゃんとされているところも多いですが、それ以外では実際にそうでない会社も多く、いわゆる免許を持っていないドライバーが運転しているような業界になってしまっていますね。
新規事業などでこの業界に入られる方がそういったところを利用されるという話もよく聞きますが、まずは業界のそこそこの規模の会社で半年くらいアルバイトでもして実務経験をされてから起業される方がよいと思います。
例えば飲食店経営もしたことがない人が蕎麦を打つのが好きだからとお店を出されて失敗しているお店を結構見ます。
蕎麦を打つのと、蕎麦つゆを作るのはまったく技術が別ですし、それ以上に店舗の採算が取れるようにお店を日々回す技術も別で、外食する時は客単価×何回転し、ついつい1日の売上を計算してからこの店は収益が取れているのか計算してしまいます。
そして集客だったり、経営的に利益を残す技術もまた別です。
経営ですら技術ですから。
そう考えるわたしも起業して17年経ちますが、まだまだ学ぶことはたくさんあるのだと思います。
2023年12月04日 05:55