仕事の方向性と仕様での差別化8
前回からの続きです。作業する会社は単純に大きくすれば利益が増えていくわけではありません。
仕事が増えて、人を増やして、車も機械も増やせば会社は大きくなって利益も残るんだと勘違いしている人も多いようです。
床の仕事だとだいたい3人1セットくらいでしょうか。
うちの現場は2人1セットで物の移動が多い場合のみ、移動する人が増えるくらいです。
ナノプラスの場合、作業だけで見ればやることが少ないので2人しか必要ないのです。
一般的な3人1セットで見た場合だと、4人になったら4人1セットかというと増えた1人はさほどやることもないのでそうではありません。
じゃあ2人2セットにするかというと、仕事量が対して増えていないのに道具も車ももう1セット買うようになり、その時点ではコストが増え収支バランスが悪くなります。
作業会社は人、道具、車を増やすタイミングが重要なのです。
逆に言えば、最初にこのくらいの規模でどのくらいの物件をどのようなやるかを決めた方が良いでしょう。
やることを決めるのではなく、やらないことを決めていくのです。
一番利益が出るのは今の人員と機材で100%稼動することです。
ビルメン業は人が動くものなので、100%稼動以上の売上になりません。
働く人には月176時間労働という上限がありますから。
100%稼動の売上の中でどうやって利益を最大化するかというゲームです。
そう考えると意味のわからない安い単価の仕事をそのままやっていては最大化は遠のいていきます。
利益の最大化は利益率をどれだけ上げられるかにかかっています。
100%稼動に近い状態に拡げてそこから単価の見直しや仕様の見直し、やり方の見直しによって利益率を上げていきます。
それができない現場は毎年足切りでやめていき新しい条件の良い仕事を受注していきます。
それを繰り返すことで利益率が上がります。
そして利益率が上がると細かいところまで手も入りますし、細かい丁寧な対応もできるようになります。
その積み重ねは顧客の信用につながっていきます。
本来お金が先にあるのではなく信用が先にあるのですが、この業界は信用があってもお金が安いという意味のわからない状況に陥っています。
最初に、「生活を人質に取られて…」ということを書きましたが、必要な収入を得ることができていないから仕事を断ることもできないし、単価を上げることもできないのです。
しかしそれも本来順番が逆で、仕事を断らないから、単価を上げないから必要な収入を得ることができていないとも言えます。
売上を立てるのも利益を出すのもそれは技術であり、学ぶからできることです。
8、9月で「何のために学ぶのか」というテーマを書きましたが、生活を人質に取られないためにも学んでスキルをつけていきましょう。
2024年10月28日 00:00