原価計算できない業界 3
前回からの続きです。某商業施設では@35円/㎡なんて仕事もあります。
安い仕事に限って
「面積があるから!」
「物件数があるから!」
なんて謳い文句で作業する会社を探している会社もありますが、安い物件が大量にあったらその方がしんどいですね。
面積が広い物件については、そういった物件をメインでやっていて大型の洗浄機を持っていて、それをやるノウハウを持っていないと1000㎡以上の物件をポリッシャーとバキュームなんかでやっていたら赤字確定です。
10000㎡あって@35円/㎡だと350000円もあると思いますが、1000㎡やっても35000円にしかならないのですから。
1000㎡というと一般的なスーパーのサイズですから、そのくらいでも利益を出せる人でないと赤字になってしまうといえます。
とはいえノウハウと機械を持ってさえいればできないわけではありません。
やりたいかどうかは別の問題で、美容院を1時間くらいでやっつけてしまった方がはるかに手元に残る時間あたりの利益は大きかったりします。
車・機械・人数で作業できる面積の限度は決まります。
その中でいかに利益を最大化するかを考えるというゲームをしているわけで、利益が最大化しない仕事はやめていくしかありません。
仕事をたくさんこなせば確かにお金は入ってきます。
しかしとりあえず目の前の入ってくるお金だけを見て仕事をしているといつの間にか赤字物件ばかりになってしまい、どんどんお金は減っていき、お金が減るからさらに目の前の安いを仕事受注してしまうという悪いサイクルに入っていきがちです。
最低限の経費を払うために受注しないといけない仕事もあるでしょう。
しかし正しい原価計算でその仕事をABC分類しておかないとどこまでが赤字でどこまでが黒字なのかさえわかりません。
そしてCの現場については条件交渉をしなければいけません。
単価をあげてもらうのか、仕様変更をして負担を減らして利益率を上げるのか。
仕様変更についてですが、この場合においてはいくら仕様変更しても利益率が変わらないような仕様変更はあまり意味がありません。
「3人の現場が1時間短縮になりました!」
確かにこれでも利益率は上がっているのですが、ではその空いた1時間で他の仕事ができるのかどうかというところが問題です。
合計3時間減っても日当や月給であれば原価は変わっていないのですから。
年回数を減らして単価を上げるような大幅な変更が必要なのです。
次回へ続きます。
2025年04月07日 00:00