洗浄液の量の大切さ 5
前回、洗浄液を150cc/㎡以上塗布して10分程度放置し、水を塗布して伸ばしてから洗う。これにはいくつかメリットがありますので、解説していきます。
というところで終わりました。
・水を出しながら洗うことで洗浄液の反応をゆっくりにします。
ナノプラスでは10分も放置しなくても十分に落とせますから塗った端から洗っていきますが、洗う際のポイントはポリッシャータンクから水を出しながら洗うこと。
回収までの間に再度反応するのを防ぐことはワックス床のメンテナンスではとても重要です。
ビルクリ方式がわかりやすいですが、ポリッシャーが通ったあとに洗浄液が反応すると、ダメになったワックスの上にワックスを塗るようになります。
それはどんな洗剤でも同じことです。
多機能還元水の場合はそれが起こっても大丈夫な設計になっていますからずいぶんと楽ができていますが、時間が長くなれば影響がゼロなわけではありません。
洗浄液を薄めることで反応スピードや洗浄力を低下させ、その悪影響を防ぎます。
・洗浄液を薄めリンス性をよくする
洗浄液を塗布して洗浄し回収するまでにはそれなりに時間がかかり、水分は蒸発します。
湿度計を置くとわかりますが、洗浄作業で10%程度湿度は上がりますし、表面の洗浄液も乾いていくのがわかりますね。
そうすると蒸発した分、洗浄液の希釈は濃くなります。
極端な例ですが、100倍希釈の洗浄液の水が半分蒸発したらそこにあるのは50倍希釈です。
そしてそこに同じ量の水を撒いて伸ばせば100倍希釈になりますが、同じ100倍希釈の洗浄液を同じ量そこに塗ったら75倍希釈液が床に撒かれていることになります。
50倍希釈と100倍希釈をそれぞれ同じ洗浄液の量を床面に塗って同じように洗って同じように回収すると残留率はどのような違うでしょうか?
50倍希釈の方が2倍濃いので2倍残留しますね。
薄い洗浄液で洗うということは残留が少なくなります。
だから水を足しながら薄めながら洗うことで残留率を下げる意味があるのです。
・洗浄液の飽和を防ぐ
アイスコーヒーに粉砂糖は溶けません。
厳密にいうと小麦粉と水をこねてうどんになっているのが飽和ですが、洗浄作業における洗浄液の飽和とは、洗浄液に汚れやワックスが洗っても溶けていかないことを指します。
しかし寒い冬の日にも床を冷たい水で洗っているのが我々の仕事で、アイスコーヒーに砂糖を溶かしているのと同じなのです。
水は水温によって溶かすことのできる量が違い、溶けた量が増えるに従って溶け方はゆっくりになっていきます。
水を空気に置き換えても同じで、空気は気温によって含むことできる水分量が違い、含む量が増えるに従って含み方はゆっくりになっていきます。
これはワックス塗布の時に必要な理屈ですね。
床を洗う際に洗浄液に溶かし込みたいのは汚れやワックスです。
しかし土砂や埃があると先にそれらが溶け込んでしまい、汚れやワックスが溶け込めず取れてこないのです。
そして洗浄汚水が黒になってしまい、ワックスの白色を含んだ灰色にはならず、ワックスが減膜できないのにワックスを重ねて塗るからワックスの層が厚く増えていくのです。
だからこそウェットダスターでしっかりと回収したり、汚れやワックスに刺さった土砂が多い現場では予備洗浄を行って取れるものは先に取っておくのです。
カーペットでいうところのアップライトをしっかりかけるのと同じですね。
濃い洗浄液は相対的に 洗剤:多い 水:少ない です。
薄い洗浄液は相対的に 洗剤:少ない 水:多い です
水が多い方がたくさん溶け込む余地を持っていますね。
ポリッシャーや洗浄液から水を出しながら洗浄することで水を補給し、汚れやワックスが溶け込むことのできるスペースを増やすことがポイントになります。
次回に続きます。
2025年05月19日 00:00