「過不足のなさ」という本質 ノイズを削ぎ落とす 1
仕事でもプライベートでも、あらゆる物事において「情報次元で過不足がないこと」は極めて重要です。
過不足がある状態、つまり「多すぎる(過)」あるいは「足りない(不足)」というのは、情報における「ノイズ」といえます。
本当に優れた知性を持つ人の文章や会話は、過不足なく必要なことだけが盛り込まれており、非常に美しく無駄がありません。
社内外の報告・連絡・相談において、
「何を言いたいのかわからない」
というノイズの多い連絡は受け手を疲弊させてしまいます。
必要な要点をいかに無駄のない言葉で伝えるかというスキルは、一般的には目立ちにくく評価されにくいものですが、極めて重要な能力です。
事実、IQ200を超える知性を持つ人々と対話していると、彼らの伝える言葉が例外なくこの上なく綺麗な文章であることがわかります。
そして、この「過不足のなさ」は、個人のスキルに留まらず、企業の経営そのものにも全く同じことが言えます。
真に強い企業というのは、あれこれと手を広げず、これと決めた事業のみを徹底的に追求します。
目先の売上を追うために新しいものへ飛びつき、事業を複雑化させてしまうことは、企業経営における大きなノイズです。
あれこれとやりすぎると、途中で引くに引けなくなり、結果としてその雑多な業務に振り回されて本業に集中できなくなる会社を、これまで数多く目にしてきました。
特に我々の建物の業界においては、「どこまでが本業か」という一線を画していなければ、建物に関わるすべて、つまりは用地の調達から建築、管理、修繕、そして解体に至るまで、やることが無限に膨れ上がってしまいます。これこそが経営における「過(多すぎる状態)」の典型です。
また、「過不足のなさ」は「タイミング」にも存在します。
仕事は決して一人で完結するものではありません。
誰か一人が流れを止めれば全体の循環が悪くなります。
これは物理的な業務フローだけでなく、エネルギーの次元においても同様です。なぜか最初から最後までトラブルが続く仕事というのは、この「適切なタイミング」という視点が欠けていることが少なくありません。
タイミングが遅い(不足)のは論外ですが、勝手に先走って進めてしまうこと(過)もまた問題なのです。物事には、早すぎず遅すぎない、絶妙な「適切なタイミング」があります。
次回へ続きます。