得意先ポートフォリオの話4/4
最後の4つめは,既存の得意先や物件について.得意先も物件もABC評価を行いましょう.
ABC評価といっても難しいことではありません.
A評価:対応も単価も作業条件もよく手間のかからない顧客と物件
B評価:普通
C評価:Aの逆(現場での物の移動,鍵の授受や報告書などが面倒なども含む)
の3つに分類して,悪いお客さんや物件は改善するか,やめるかしていこうという話.
C評価の顧客や物件については,単価の引き上げのお願いや,作業条件の改善を求める交渉を行ってB評価に引き上げるもしくはその物件をやめるか,仕事がなくて困っている知り合いの会社を直接紹介します.
「この単価だと自社でできないので,安い会社紹介します!」というと両方から喜ばれます.
C物件しかない顧客もやめてしまいます(事業展開上必要がなければ)
Cにかけていた時間を新規の営業や,Aの顧客に当てたり,Bの顧客をAにすることに時間を使わない限り収益性は上がりません.
働ける時間が決まっているので,収益の限界は決まってしまいます.
思うように利益が出ないのは
仕事を詰め込んでいるから頑張っているはずなのに,思うような利益が出ないのです.
元々この仕事は身体でなく頭でするものなのです.
身体でする仕事は,日当だとか時給とかで縛られるので生産性が上がることはあまりありません.
生産性が高い場合は,事前に頭で仕事ができているから.
それをもう少し広い視野で見ていくと,現場だけのことを見ていてはダメなのです.
ビルメン業は目に見えない経費との戦い
例えば,同じくらいの金額と,同じくらいの質の物件をくれる2社があったとして,片方は前日に鍵の受け取りや作業後日の返却だったり,写真付きの報告書の提出だったりの手間のかかる会社とそうでない会社があった場合,ない会社の方がはるかに良い単価の仕事ですね.
そういった見に見えない経費を正しく原価計算していないから,結果的に忙しくて余裕はなくなり,利益が出ないどころか,休みもなくなり,体力も精神力も削ぎ落とされていき,作業するスタッフさんがやめてさらに追い込まれてというのは良くある話なのです.
逆に,あまり仕事をしていない会社の方が,やることを絞って無駄なく働き,将来のことを考えて勉強する時間を増やしたりして生産性を高める努力を惜しまないようになっています.
この評価で重要なのは,9月17日のコラム「収支だけで決まらない現場の価値」に書いてあること.
表面的なことで評価づけをすると失敗するのでご注意を.
その会社にとっては,例え赤字であっても絶対に守るべき物件ってのがあるのです.