今日の話は少し長くなってしまったので、2部構成です。
剥離の方法といえば剥離剤をまく!というのが一般的でしょう。
しかし剥離剤は危険で、人体に対する負荷も床材に対する負荷も大きく、できればやりたくないところ。
これを濃い洗剤を用いて落とそうとする人もいますが、希釈が濃ければ安全な物でも危険な物になっていきます。
物によっては危険なものを薄く使う方が安全だったり。
またお財布への負荷が一番ダメージが大きかったりします。
最近では希釈が3倍だ5倍だという話も聞くことがありますが、その洗剤のコストはいくら?という話。
どれだけ安全で落とせたとしても、利益が出ないのであれば、綺麗になっても修行でしかありません。
精神論で仕事はできません。
洗剤メーカーの言われるままに、メーカーを儲けさせているだけなんですね。
昔、負のスパイラルという話をしたことがあります。
濃い希釈の洗剤→ワックスが黄ばむ黒ずむ→定期清掃が増える→ワックスがビルドアップする→剥離がある
→結局ワックスと洗剤が売れる
と希釈が濃い洗剤がそもそもいかんですね。
それではどう剥離するのかという話
nano+では洗浄作業を繰り返していればそのうち勝手に剥離ができるので剥離作業をしませんが、お客様から頼まれたり、仕様なのでと言われると致し方ない部分もあるかもしれません。
剥離に必要な洗剤や剥離剤、そして水の量は、そこにあるワックスの量と経過した時間と水温と床温によって決まります。
ワックスは立体の被膜なのでどれだけの容積があるかというのが一番大きなポイントなんですね。
ワックスが2層しかないところと20層あるところでは、2層のところの方がケミカルも水も少なく済みます。
剥離しなければならない状態というのは、洗浄2層×年12回→24層と最低でもこのライン。
10年ものだと240層ですね。
昔30年ものを剥離したことがありますが、720層です。。。しかも階段で手強かった。。。
ただし1層あたりの塗り厚によっても異なりますので、あくまで1層というのは目安です。
そしてそういった黒ずむ現場は毎回の洗浄でワックスは減っていません。
減るワックス>塗るワックス だと勝手に剥離ができますが、黒ずみビルドアップするということは洗浄でワックスが減っていないということ。
剥離するには容積をいかにゼロにするか
24層を剥離するのか240層を剥離するのか
24層の方が楽ですし、24層ぐらいなら剥離剤などなくても剥離は可能ですね。
なので洗剤なり剥離剤なり、まく前にそれを減らします。
どんなパッドであれワックスを減膜(全体を均等に減らす)のは不可能です。
同じ場所を15分回し続ければ別ですが。
しかし普通のポリッシャーや洗浄機でもワックスの容積を減らすことは可能です。
ワックスは立体的な被膜なので、剥離するには容積をいかにゼロにするかという仕事です。
技術資料集の洗浄関連資料にありますが、ここで重要になるのは単位荷重。
20キロしか荷重がかからないポリッシャーでも12インチと20インチでは単位荷重は12インチの方が大きくなります。
20インチだと荷重が分散する面積が大きくなりますので。
そしてパッドサイズだけではありません。
接地面が少ないパッドを使えば荷重は少なくても単位荷重が増えるのでざっくりワックスに大きな傷を入れられます。
目が開いているパッド(ハイプロパッド)と開いていないパッド(一般的なパッドで白パッドやSPPはこちら)とでは床に接地する面積が異なります。
ハイプロパッドの方が目が開いているので接地面積は少ないですね。(白パッドは設置面積が大きいですね)
その分単位荷重が上がります→縦にざっくり傷を入れてくれます。
ザックリザックリと傷を入れてくれると→ワックスの容積は減っていきます。
そうするとケミカル使用量が減りますね。
ただワックスはそう簡単に削れるものではありません。
なので、多機能還元水500倍希釈を洗浄機やポリッシャーに入れてワックスを柔軟にしてゆっくり洗います。
そうすると写真のように真っ黒なワックスが取れていきます。
当然これで剥離はできません。
しかし汚水の色を見てください。
剥離剤で洗ったような色が出ています。→容積を減らした!
単純にこれだけの剥離剤を使わずに済んだということですね。
剥離剤のケミカルコストはもちろんですが、剥離剤を塗って回収することを考えると、洗浄機をゆっくり押していればいいのなら作業コストはかなり安くなります。
時間がかかると言われる方もいらっしゃいますが、ダスターをかけた後に押していればいいのです。
他の人は車から荷物を降ろしたり水を汲んだり他の準備をしていればいいのですから。
10年以上経過したワックスはこれをやってからでないと剥離はしんどいと思います。
長くなってしまったので、続きは次回。
2018年10月15日 10:00